2025年度 日本擁壁実態調査実施報告

2025年度 日本擁壁実態調査実施報告

一般社団法人 日本擁壁保証協会は、全国157自治体394部署を対象とした「2025年度 日本擁壁実態調査」を実施し、その結果を公表しました。本ページでは、調査の背景・目的・概要と主要な調査結果をご紹介します。

調査実施の背景と目的

当会では、社会が求める建築土木における地盤の安全性と価値の保全のニーズに応えることを目的とした、全国的業界団体を目指し、活動を行っております。

こうした活動の中で、近年、東京都内において発生した擁壁に関する事故を契機として、地域住民の皆様のみならず、自治体様や住宅管理会社等においても、擁壁の安全性および維持管理に対する関心が一層高まっている状況を、各方面からのご相談やお問い合わせを通じて強く認識しております。

当会では、擁壁保証を通じて、住まい・地域の皆様や、未来の子どもたちの、安全で安心な暮らしの実現を目指しています。本調査は、こうした背景を踏まえ、各自治体ご担当者様より擁壁に関する現状やご意見をおうかがいすることで、地域における擁壁の安全性や維持管理に関する実態を把握し、自治体の皆様への情報提供や、地域住民の皆様の安全向上にとって有益な情報発信につなげることを目的としております。

調査概要

調査名称2025年度 日本擁壁実態調査
調査対象全国157自治体394部署
(擁壁が存在し得る自治体の建築・開発・道路・土木・まちづくり・防災等の担当部署)
調査方法郵送・インターネット調査
調査期間2026年2月10日〜3月31日
有効回答数n=73(394部署への事前調査後、本設問回答数)
聴取項目擁壁箇所の把握状況/点検実施状況/相談・苦情・陳情の頻度/課題認識/施策状況/民間連携への関心・意向 等

調査結果

今回の調査では、擁壁の安全管理をめぐる自治体の現状が初めて数値として可視化されました。以下に主要な結果を示します。

擁壁箇所の把握状況(民有地・公有地)

●民有地の擁壁箇所数を「把握できていない」と回答している割合:69.9%
●公有地の擁壁箇所数を「把握できていない」と回答している割合:61.6%

Q1-1:貴自治体の管轄内における、建築基準法工作物(2m超の擁壁)や、「がけ条例」等の対象となる擁壁についておうかがいします。次の(1)「民有地」の擁壁箇所(2)「公有地」の擁壁箇所について、どの程度把握していますか?あてはまるものを1つずつお選びください。[全体/単一回答]
※1:(1)「民有地」の擁壁箇所(概数でも可)/(2)「公有地」の擁壁箇所(概数でも可)

既存擁壁の点検実施状況(民有地・公有地)

●民有地の点検実施状況を「把握できていない」と回答している割合:60.3%
●公有地の点検実施状況を「把握できていない」と回答している割合:63.0%

Q1-2:貴自治体の管轄内における、建築基準法工作物(2m超の擁壁)や、「がけ条例」等の対象となる擁壁についておうかがいします。
次の(1)(2)※2の既存擁壁の点検状況について、どの程度実施していますか?あてはまるものを1つずつお選びください。[全体/単一回答]
※2:(1)「民有地」の点検(概数でも可)/(2)「公有地」の点検(概数でも可)

調査結果に関する見解

民有地・公有地ともに、6割以上が管轄内の擁壁箇所を把握できていない状況でした。また、既存擁壁の点検実施状況も同様に、民有地・公有地ともに6割以上が既存擁壁の点検実施状況を把握できていませんでした。
公有地の擁壁箇所数を把握できている場合には、民有地の擁壁箇所数も把握できているという傾向も見られました。
総じて、擁壁の安全対策を進める前提として不可欠、かつ、安全管理の前提となる「実態把握」そのものが、共通の課題となっていると捉えています。

老朽化した擁壁に関する事故が発生し、擁壁の安全管理への社会的関心が急速に高まりました。気候変動による災害の激甚化や擁壁の老朽化に伴い、崩壊リスクへの対策は一刻を争う課題となっています。しかしながら、特に「民有地」にある擁壁は、所有者の特定や専門知識の不足、対策費用の負担などが壁となり、行政側からの実態把握や指導・介入が極めて難しいのが現状です。こうした自治体の皆様が直面している課題を把握し、民間企業の技術やサービスをどのように役立てられるかを当協会も自治体の皆様と共に模索していきたいと考えております。

本調査に関するご質問やご不明点等は、下記問い合わせ先までお知らせください。

日本擁壁実態調査 事務局(一般社団法人日本擁壁保証協会 内)
メール:research@youheki.or.jp

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