教えてまもるくん03
第3回 擁壁事故が起きた場合の責任とは?
擁壁事故が起きた場合、自分の家と擁壁を挟んだお隣の家と、どちらの物なのか?土地と土地との境界はどこなのか?万一事故が起きたときの責任は?少し考えただけでもトラブルの種がたくさん存在しそうですよね。
よって、擁壁のある土地に新たに家を建てるのなら、できる限り専門家に土地を見てもらい、設計・監理してもらうことが第一です。
また、既に自分が所有している土地に不適格擁壁がある場合は、擁壁を建設した当時の経緯、工事に要する費用などを明らかにした上で、お隣さんとの協議が必要な場合は、しっかりと取り決めをしておくことが重要です。
2023年2月13日、東京 世田谷区で擁壁が崩れ、区はこの擁壁の上に建っている住宅に住む、7世帯17人に避難指示を出しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230214/k10013980161000.html
当時、工事は行われておらず、この事故によるけが人はいませんでした。崩れ落ちたのは、斜面の土砂崩れなどを防ぐためにコンクリートで固めた「擁壁」。取材を進めると、崩落の恐れがある擁壁は、身近にあることが分かってきました。
では、第三者に損害を起こした場合、誰が、どのような場面に、どのような法的責任を負うのでしょうか。
擁壁に問題があった場合
例えば、斜面に設置された擁壁に構造上の問題があり崩落したような場合には、その土地の占有者(賃借人など)が損害賠償責任を負います。
ただし、占有者に管理上の過失がなかった場合には、所有者に過失がなくとも責任を負うことになります。(民法717条1項)
崩落した土砂により、隣地の建物を損壊させてしまった場合には、その補修費用などの損害を賠償しなければなりません。
道路の斜面が崩落して、通行人にけがを負わせてしまった場合や、被害者がなくなってしまったケースも同様です。(この件では損害賠償額は8000万円前後になるでしょう。)
斜面の崩落やがけ崩れは、発生すると大きな被害をもたらします。
そのため、所有者が負う責任もそれだけ重いものになります。擁壁事故を防ぐために、所有者としてはきちんとした工事を行っておく必要があります。
大丈夫かな?と思ったら近くの専門家に相談してください。